花男!!花男っ!!
この漫画を読み終えたら、とにかく「花男コール」がしたくなりました。
だって、もう、とにかく良かった!
巨人軍入団という夢を追いかけて家を出ていた、自由奔放な父(花男-ハナオ〈29歳〉) と、
ガリ勉君で、ちょっと生意気な息子(茂雄-シゲオ〈9歳〉)の、
どこまでも素朴で、ふざけていて、温かいお話です。
でも、最初から、そんなアットホームで良いお話ではないってところが、この漫画のミソかも!
「マジメに勉強して皆のトップでいたい」 という、シゲオ君のような
優等生タイプの子が 嫌がりそうなお父さん像が、まさに花男(父)なのです。。
さらに、シゲオ君からすると、
本気で夢を追うばかりに 母と自分を置いて家を出て行った父だから、
憎んじゃっているのです。。気持ち、凄くわかります(汗)
しかし そこへ、お母さんが
「夏休み中だけお父さんと一緒に暮らしてみて」と奨めるのです。
読み終えてから考えると、このお母さん、ナイス判断っ!

そうして共同生活が始まるのですが・・・
同居1日目から シゲオ君は、花男のことを「オジサン」呼ばわりだし、
部屋に貼ってある(元)巨人のナガシマのポスターを見るなり
「悪趣味だよなぁ」と馬鹿にするし、で、とにかく徹底的に嫌煙。
それでも、少年のように(むしろ少年以上に)純粋で真っ直ぐな花男は、
子供のかわいらしさを全く出そうとしないシゲオ君に、
"感情"というものを教えていくのです。一緒に遊びながら!!
町へ散歩に連れて行ったり、海で走り回ったり、カブトムシを採りに行ったり・・・。
そうしているうちに、シゲオ君も徐々に心を開き始めるのです!
何か理論付けて教育しているわけではなく、
「楽しい」とか、「幸せ」っていうのは、こういうのだよ!!って、体で感じさせていくのです。
読んでいる私までワクワクしてくるほどにっ!!
花男本人は、ただ素直に楽しんでいるだけのようですが♪(笑)
そんな 「ありそ〜」で、今時「なさそ〜」な 親子が過ごす夏休みを
ただ覗いている感覚になってくるのですが・・・これがまた、飽きない!
それは、裸の大将を彷彿させる身なりで バカボン級に濃い〜キャラを持つ花男と、
そんな父に、何のためらいもなくズバズバとツッコミを入れるシゲオ君との間に流れる空間が
少しずつ変化していくのが見えるから。
それに、ただの日常描写も、この親子の手にかかると、面白くて目が離せないのです♪
で、ゆる〜く読んでいくわけですが、その先に待っているのが・・・
でっかい、クライマックス!!
想定範囲内のオチなのに、めちゃくちゃトリハダ・・・体中がゾゾゾッ!!!
そして、ナゼか同時に、爆笑したくなりました(ちょっと感情がわからなくなった。。〈笑〉)。
でもそこで、心から思うのです。
こんなお父さんも、素敵だわー!って♪
シゲオ君とも、コレまたナイスコンビで、父親を馬鹿にした言葉ばかり吐く彼ですが、
そこに隠れた優しい気持ちがチラッと見えている!
だから、あぁ〜、こういう親子のカタチも、いいものだなぁ〜♪と、ほのぼのしちゃいました!


あたたかいストーリーの中で、シゲオ君のココロの経験値が上がっていく、
これこそがこの漫画の見ドコロ!
頭の良さゆえ(ハードボイルド意識ゆえ?)変に気取っていたシゲオ君ですが、
だんだんと素直に笑ったり怒ったりできるようになり、
小学生は、こうでなきゃね♪っていう少年の顔を見せるようになってくるのです♪
花男を馬鹿にするような態度はずっと変わらないのですが、
だんだんと、そのウラに優しい気持ちがチラッと見えるようになってきて、
なんとも言えないホッコリした気持ちになれました。
父親の存在って、偉大なんだなぁー。
現実的に考えたら、
花男みたいに 働かないで毎日野球ばっかりしていて、
授業参観にお菓子を食べながら来ちゃうような人が
自分の父親だったら、イヤ、、だけど・・・
息子に対する愛が、とにかくすごいのですっ!
だからか、どんなに生意気な態度を取られても、
単にしかりつけるのではなく、凹んで引き下がるでもなく、向き合っている(?)というか。
父のペースに一度巻き込んで、自己判断させる、というスタンスが妙にしっくりきました。
こんな育て方もあるんだなぁ、って♪
少年の気持ちを忘れずにいることも、子供を育てるのには大切なのですね・・・!
(それって結構、難しそうに思いますが。。)
でも、そういえば、小さい頃に
「パパやママも、ずっと昔は子供だったの!?」って思ったことがあった気がします。
それって、"大人"の部分しか見えないからだったのかも?
私も、自分に子供がいたら、「母親とはこうあるべき」像
みたいなのを演じていたい っていう思いが生まれると思うんです。
だけどそしたら、大人目線でしか子供を見てあげられないかもしれないし、
第一、子供と心から笑って、楽しんで遊べないかもしれない!!
心からの感情を見せ合えないなんて、悲しい。。
素直な自分を、誰にでも見せていられたら素敵だなぁって、
花男を見ていたら本当にそう思いました♪

深いストーリーのある漫画ですが、それを引き立たせているのが独特の絵。
途中、まったくセリフのない、絵だけで語る章があるのですが(20ページくらい)、
「そういえば、最近セリフ見ないような?」ってしばらく読んでやっと気づくぐらい!
全く違和感なく読めてしまい、ストーリーとは関係ないところで、ちょっとカンゲキしちゃいました(笑)
そして作者さんの遊びゴコロも、とにかく盛り込みたいだけ盛り込んだ!!っていう感じ。
町にいつもモアイ像らしきものがあったり、平然と人面犬がいたり。
そういう"こっそりネタ"を探すのも、この漫画をの楽しみの一つだと思います!
「ワハハ!」というより、「フッ♪」っていうくらいだけど、それが読んでいて心地よい♪
感動も、トコロドコロであるのですが、
「ウルウル〜ッ!」っていう感動ではなく、ちょこっと「ポッ♪」てする感じ。上手く伝わるでしょうか。。
その、やり過ぎていないところが、読みやすさでもあり、
さらに、クライマックスを引き立たせてくれていたのだと思います!
そうして、割と速いペースで読み終え・・・
素直に生きることのスゴさ、素直な思いを貫いたときの強さを改めて感じ、
ありのままを出していける人が、やっぱり魅力的だ!って、
花男を見ていると心からそう思いました。
でも、1番思ったのは・・・
やっぱり、愛に勝るものはないっ!!ってこと。
花男ほどになると大変だけど、私も愛情あふれる素直な人間になろうっ!
かなり照れくさい宣言ではありますが、そんな人間になれたら、自分も、その周りの人たちも、
みんな幸せな気分になれるんじゃないかと思うのです!!
皆様も、是非この深イイ漫画を読んで、ちょっと幸せな気分になっちゃってください♪
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